子どもたちはよく「しってるー」と言います。なまえを知っている。友だちから聞いた。テレビか何かで見た。行ったことがある。自分の目で見たり、触ったり、においを嗅いだ。「しってるー」でもいろいろです。ちょっと意地が悪い見方ですが、横の人に負けまいと思って「しってるー」と言ってしまうこともありそうです。先日、台湾に旅行に行ってこられた方は現地の人が語る言葉や想いを聞いて、今までの知識で得ていたものにさらに自身の知覚としてのものが加わって力強いものに変わったというお話をされていました。旅行でも単なる「行った」「見た」「楽しかった」という浅いレベルから、「深く感じ、考えた」という深いレベルまでいろいろです。
やはり先日、幼稚園の音楽の時間です。月に1度ですが、音楽を通じ全人格教育を志しておられる先生に来ていただき、子どもたちにご指導いただいています。生涯音楽アカデミーの山地先生です。この日はいくつかの太鼓、そして絵本が1冊とシャツとパンツを持ってこられました。絵本は「あふりかのたいこ」というお話。シャツとパンツはアフリカで現地の人がふだん着用するもの。太鼓はジュンベ(山羊の皮)とドゥンドゥン(牛の皮)というものです。年長も年中はもう夢中、私も思わず踊りだしてしまいました。道路を挟んだ小学校の方からでもドゥンドゥンジュンベジュンベ、アフリカの音は大きく響き渡っていました。これは「本当にしってるー!!!」に等しい体験だったでしょう。