梅雨
梅雨時の代表的な花であるアジサイが今、満開の時期を迎えています。園内のあちらこちらのアジサイも青や薄紫の花を咲かせていますが、この梅雨時の親子登降園には、レインブーツを履いた様々なパラソルの花も咲きます。そこで、『梅雨』について少し調べてみました。
梅雨の語源としては、中国から「梅雨(ばいう)」として伝わり、江戸時代頃より「つゆ」と呼ばれるようになったようです。夏至(6月22日ごろ)を中心として前後それぞれ約20日ずつの雨期の梅雨は、朝鮮南部・中国長江下流域から、北海道を除く日本列島に見られる極東アジア特有のものです。ウメの実の熟する頃の雨期なので「梅雨」と書きますが、カビ(黴)の生える頃の雨期でもあるので、「黴雨(ばいう)」とも書かれました。また、梅雨は、旧暦では五月(さつき)頃にあたるので「五月雨」と書いて「さみだれ」、麦の実る頃であることから「麦雨(ばくう)」とも呼びます。
梅雨末期の集中豪雨はさまざまな水害をもたらすことがありますが、梅雨全体としての雨量は冬の日本海側の雪とともに、日本の大切な水資源となっています。(この期間の降水量は年降水量のほぼ3分の1に達します。)
このように6・7月の梅雨時の日本列島は、高温多湿の条件下での生活となり、この面を強調して日本の文化を【湿度文化】と位置づける文化論もあります。例えば、奈良時代に建立された正倉院の校倉造も日本的風土から生み出されたものでしょうし、この時期に発生しやすい黴(カビ)を日本の食生活の基本となる味噌、しょうゆ、酒、納豆などをつくりだす重要な媒体物として利用するのは日本人の生活の智恵だと考えられます。このように【梅雨】は、日本的風土の醸成・日本人の精神生活の根源と深く関わる自然現象とも言うことが出来るでしょう。